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  <2018年6月7日>


     こんにちは!ピクシーです。今日は田植えの様子をお伝えします。

  この度、田んぼ7年目を迎え、工房の近くに一反以上ある大きな田んぼをお借りすることができました。

 周囲の方々に助けて頂きながら、田植えに向けての準備です。


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  なんと渋い耕運機でしょうか!お借りした年代物の耕運機にカゴ車をつけて代かきします。代かきとは

 水を入れた田んぼを練って泥にしていくことです。本当に健気に良く動いてくれる耕運機。運転にはいささか

 技術が入りますが、懐かしいエンジン音に身を任せながら何時間も行ないます。昔は牛や馬を使ったり、手

 作業で代かきしたものでした。実際に泥を手で練ったり、移動させてみると、泥の重さが応えます。昔の人々

 の重労働を肌で感じて思い出すのが「代かき地蔵」です。


  昔、日照り続きで田んぼがカラカラで、村人たちは田植えが出来ずに困っていました。ところが翌朝、

 いつの間にやら田んぼに水が張られ、代かきがすっかり終わって田植えをするばかりとなっていたのです。

  一体誰がこんなことをしたのでしょうか?見ると村のお地蔵様が泥で汚れておりました。

  なんとお地蔵さまが代かきをしてくれたのです!

  人々はそのお地蔵様を「代かき地蔵」と崇め、今でもお寺に祀られているということです。


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  さて、今年初めて登場したのは、これまた年代物の田植え機です。整備にはいささか手間がかかりましたが、

 なんとか立派にお役目を果たしてくれました。しかし、機械で植えられたのは全体のたったの三分の一。本当

 のところ半分は機械で植えたかったのでしたが、機械用の苗はこれにて終了。後は手植えするしかありません。

 さらに用意していた手植え用の苗も植えきってしまいました。近くの方に余った苗を分けて頂いたことで、

 なんとか全面を植え終えることが出来たのです! 


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  田んぼが広くなると、一条植えるのに思いのほか時間がかかります。昔の人は全てを手植えしていたのですか

 ら凄いものです。そこで思い出すのが全国にみられる「嫁殺し田(めころした)」または「嫁田」といわれる

 伝説です。


  昔、嫁が意地悪な姑に物凄い広さの田んぼを、たったの一日で田植えするように命じられました。

 嫁は必死に田植えをしますが、なんとか仕事を終えると同時に力尽きて死んでしまうというお話です。

 その田んぼの広さは1町6反などというのもあり、店主の今やっている田んぼの16倍!

 実際に手植えをしてみると、伝説の厳しさがひしひしと伝わってきます。


  田植えの後は、毎日除草作業です。除草剤を入れないので、放っておくと水草が生えて稲の成長を妨げて

 しまいます。まだ何も生えていないように見えるうちに、竹ぼうきで株周りをジャブジャブと掃きます。発芽

 しかかった水草の種は、竹ぼうきで浮き上がってしまうという寸法。これをこまめにやっておくと、後がとて

 も楽なのです。この作業が出遅れると、最後にはすべて手作業で水草を取る羽目になります。

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  静岡には大蛇が棲んでいた池を田んぼにしたところがあります。その田んぼは底なしの場所があり、そこには

 田の草取りをしていた嫁が溺れて、笠だけが田んぼに浮かんでいたといったお話が残っています。

  雨の日に深水の田んぼで除草していると、水面が風で波立って恐いような気がすることがあります。大蛇で

 もいるのでしょうか。はたまた底なしの場所でもあるのでしょうか。田んぼには昔の人々の思いが、まだ脈々

 と息づいているのかもしれません。


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  <2018年3月9日>

  工房の庭。雪の中にぽっかりと謎の小山が二つ。

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  最近の暖かさで雪が溶けて、その姿を現しました。

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  実はこれ、堆肥の山なのです。最近店主は堆肥作りがブーム。秋に落ち葉をせっせと集めてきては、そこに

 米糠や油かすなどを混ぜ込んでいきます。でも乾燥したままでは枯れ葉は一枚一枚バラバラのまま。ところが

 そこにほど良く水分を与えると、バラバラだったものが一つの有機体となります。数日もすれば発熱してきて、

 寒い日でも切り返すと湯気が立つほどです。切り返す度に発酵が進み、数か月で良質の堆肥の出来上がりです。

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  みなバラバラだったものに水分を混ぜて一塊にすると、まるで一つの生命体のように活動し始めるなんて、

 発酵は本当に神秘的です。これはまさに水の精「ウンディーネ」のなせる業でしょうか。


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  いやいや、きっと土の精「ノーム」も関わっているに違いありません。


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  彼らの活動による発酵の神秘に魅せられて、今日も店主は堆肥のお世話です。いつしか庭には12個の堆肥の

 山が出来上がりました。まるでアイルランドにあるという「妖精の丘」の風情です。フランスでは5月になる

 と、堆肥の上にサンザシの枝を立てるという風習があるそうです。こういった「まじない」によって、堆肥に

 関わる精霊たちの働きが活発になるのかもしれません。

  では、我が工房でもサンザシの代わりにナンテンの枝でも立てましょうか。ウンディーネやノームに活き活き

 と活動してもらって、良い堆肥になりますように。

  




 <2017年5月28日>

  こんにちは!ピクシーです。いよいよ農繁期到来!工房ではバタバタと忙しい日々が続いています。

 それもそのはず。田んぼも6年目となる今年は、苗も自前で用意しようという無謀な作戦が進行していたので

 す!しかも、水田ではなく工房前の畑で、さらに化学肥料なしで、となるとなかなか厳しいのですが、人が

 呆れてやらないような事ほど俄然張り切ってしまう店主であります。

   

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  田植え当日。今年の新たなる試み第二弾は全て手植えです。機械植えでは難しい、株と株の間をゆったりと

 取る、憧れの尺角植えに挑戦する為に、今まで経験した何倍もの広さを手植えすることにしたのです。

  よっしゃ行くぜ!と勢い込んで田んぼに入ったはいいものの、とたんに泥に足を取られて動けなくなってし

 まいました。今年の田んぼは入念な代掻きのおかげで、それはそれは粘りのある泥に仕上がっておりまして。

  こんな時思い出すのが泥田坊のことです。


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  昔々、ある所におじいさんがおりました。長年お米を作り続けてきましたが、丹精込めた田んぼを息子に

 譲って亡くなりました。しかし、息子はその田んぼをあっけなく飲み代に売ってしまいました。それを恨みに

 思った父親は、泥田坊という三本指の妖怪となって泥の中から現れては人に泥を投げつけて「田を返せ~!」と

 叫んだということです。

  う~ん、なかなかに世知辛い昔話ですね。泥に足を取られて一歩も動けなくなってから、もうかなりの時間

 が経ってしまいました。これも泥田坊の呪いでしょうか?まだ田植えは始まったばかり。泥田坊と遊んでばか

 りはいられません。えいや!と長靴から足を引き抜き、靴下で泥の中に踏み込みます。埋まった長靴は手で

 引っこ抜き、畔へと放り投げます。泥田坊も顔負けの泥だらけですが、靴下だとすいすいと足を抜くことが

 できます。


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  とたんに泥田坊の呪いが解けて、気持ちも新たに田植え開始です。田んぼは森のはずれの棚田。キビタキや

 カッコウの鳴き声を聴きながら、黙々と作業を続けていきます。日中はジリジリと日差しが背中を焼きますが、

 ふと気づくとひんやりとした空気が漂い始めます。


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  夢中で田植えをしていたら、いつしか夕暮れの気配・・・。  

                    

 


 


 <2017年3月13日>

  こんにちは!ピクシーです。今日は新しい工房の仲間をご紹介しましょう!


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  は~、美しくたおやかな殿方と姫君ですね。なぜ三月も半ばとなろうというのにお雛様の話題かと申します

 と、ここ富士見町を始め寒冷地では、3月3日の桃の節句の頃はまだまだ寒く、当分桃の花は咲きません。その

 為4月3日にお雛祭りを行う地域があるということがわかりました。

  そこで我が工房でも4月初旬までお雛様を飾ろうということになったのです。なにせお雛様の飾られている

 座敷は冷蔵庫並みの寒さ。右手に写っている南天はお正月に飾ったものですが、まだまだピンピンしておりま

 す。さすが、冷え冷えの部屋だけに保存性は抜群です。桃の花が入手出来るまでの代役を見事に果たしておりま

 す。こんな寒い時期は薪ストーブの周りが大人気です。


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  今日も色々な面々が暖をとっていますね。上段右手はパンの二次発酵中で、下段右は天然酵母のパン種がブク

 ブク発酵中。左手は豆乳ヨーグルトがぬくぬくしております。朝焚いた薪ストーブの余熱が、彼らの発酵には

 絶妙の温度。ちょっと熱過ぎる場合でも、細目の薪の上に置けば安心です。

  店主がささっとパンを仕込んでいます。手早さが売りですので、見た目はご容赦くださいませ。


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  味もさっぱりして噛み応えのある素朴なお味。色々なお惣菜を包んで二次発酵させていきます。

  ここのところ寒いながらも徐々に日が長くなってきて、いよいよ春の気配。畑仕事もぼちぼち始まろうという

 頃。ひょっこり新芽が出てきたりして、土の中も何やら活発に蠢く気配がします。こんなイメージの版画がこち

 ら。「よきお隣りさんの目覚め」です。


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  植物も発酵菌も暖かいと動きが活発になってくるのと同じく、これからきっと精霊たちの動きも活発になる

 ことでしょう。彼らの活動が活発になると、日差しがポカポカしたり、暖かい風がソヨソヨ吹いたり、湿った

 霧にしっとり包まれたりします。そんな春の気配の中にこそ精霊の息づかいが聴こえてくるのかもしれません。

  さあ、いよいよパンが焼き上がりました。出来たての豆乳ヨーグルトとともに頂きましょう。見えないもの

 たちに支えられた、素朴ながらも贅沢な昼食です。


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 <2017年2月4日>

  味噌の仕込みは寒の内にと申します。

  当工房では毎年自家製味噌を仕込んでおりますが、今年は大豆が豊作!無農薬無施肥の大豆を3キロ味噌用に

 使いました。

  それ以外の保存用大豆もたくさん残ったので、日々の食卓が楽しみとなります。

  けれど大豆は収穫後の脱穀がとても面倒。コツコツと作業を続けますが、工房最強の妖怪?の邪魔が入って

 なかなか夜なべ仕事が進まないものです。

 

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  節分を目前に控え、いよいよ味噌の仕込みの日を迎えました。珠玉の大豆をじっくり煮込みます。

 軟らかく煮えた大豆をすり潰し、塩切りした米麹と混ぜ合わせます。

  そして、団子状にすることで空気を抜いた大豆を、樽の中に詰めていくのです。

  富士見町に移住してから毎年の味噌作り。今年で六回目ともなれば、一年に一度の作業とはいえ、さすがに手

 馴れてきました。

      

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  今年の画期的な点は、マ ルカワ味噌の「天然蔵付き菌」の有機玄米麹が入手できたことです!

  実は一般的に売られている麹というのは化学的に単一の麹菌を培養しているので、昔ながらの天然麹菌を

 販売しているお店はほとんどないのです。

  創業100年の蔵に棲む菌を自家採種するという技術を再興してくださったのは、大変有り難いことです。

 

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  発酵というのは本当に不思議なものです。ここには間違いなく妖精たちの見えない力が働いているに違いあり

 ません。代々続いた味噌蔵に棲む発酵菌とはどのようなものなのでしょうか。

 そこで、発酵を促す妖精はいないかと調べてみました。

 ヨーロッパでもチーズやワイン等、発酵させる食品は多いのに、意外と目ぼしい妖精が見当たりません。

 もしかすると各家に棲み付く家付き妖精が、発酵食品も司っているのかもしれないと思いました。

  例えば、家付き妖精の代表格「ブラウニー」。


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  彼はビール等のお供え物をしておくと、家事を手伝ってくれる他、暖炉の火を絶やさないようにしてくれた

 り、家畜の乳の出を良くしてくれたりするそうです。きっと彼ら家付き妖精がいる家のパンはよく膨らんだり、

 チーズが美味しくできたりするのでしょうね。

  そして、日本でブラウニーに相当すると思われるのが「座敷童」です。
 
 彼らほど蔵の似合う妖精もいません。きっと彼らが笑いさざめくと、味噌も漬け物も良くできることでしょう。

  ああ、そういえば日本の蔵には「納戸婆(なんどばばあ)」なる妖怪もいます。

 薄暗い蔵に入ると何となくトイレに行きたくなるのは、この妖怪の仕業だそうです。どうやら発酵とは関係なさ

 そうな妖怪ですが…。

  また、発酵に関して重要な役割をしていると思われるのが、地水火風を司る「エレメンタル」たちです。

 彼ら四大元素が絶妙に働いてくれるおかげで、この地球上における様々な自然現象が生じるのですから、

 彼らのおかげで発酵が促され食品を長期保存をすることができるのでしょう。


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  昔の人たちは、妖精たちとの関わりを通して、不思議な発酵食品の作り方を知ったのでしょうか。

  そういえば、もう一つ画期的なことがありました。

 実は知人が長年野沢菜を漬けるのに使っていた樽を譲り受けたのです。

 樽は味噌作りに毎年使っていくと、麹菌が棲みついて年々美味しくなるのだとか。

  我が工房の漬け物小屋にも、発酵を促してくれるような妖精が棲み付いてくれることを願って。

 今年も美味しいお味噌ができますように!


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<2016年11月10日>

  田舎暮らしを実現する情報誌、「月刊ふるさとネットワーク」のルーラルレポートのコーナーに連載させてい

 ただくようになって、今月号で早19回目となりました。「富士見のよきお隣りさん」と題して、田舎での日々

 の暮らしをご紹介しているというわけです。つまり、これから田舎で暮らしたいなあと考えておられる方々に、

 何かしら参考になるような内容を書こうとしているわけでありますが、いつのまにか妖怪・妖精たちの世界へと

 話が移行してしまいます。

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  毎月、気持ちを新たに「よしっ!田舎暮らしらしい文章を書くぞ!」と意気込んで筆を進めますが、何やら怪

 しい連中が耳元でささやくので、ついつい興味のある方へと気が向いて、気が付けばまたもや妖怪話の記事に仕

 上がっているという寸法です。

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  来月号も12月らしく薪ストーブの煙突掃除について書いていたものの、なぜかブラウニーという妖精が登場

 し、クリスマスの話題から果ては冬至の話しへと広がってしまいました。

  本当のところ私としましては不思議話を書いているのが一番楽しく、そういった内容を求められていない場に

 おいて、少しばかりぎょっとさせるようなギリギリの内容を書くことに、無上の喜びを感じてしまうのです。

  今までで一番気に入っているのは、今年の3月号の記事です。川を流れてきた流し雛が話しだすという内容

 で、さらにその雛人形が富士見町周辺にいる「管狐」という妖怪について語るといった複雑な内容。

  たったの1300字で書くには、いささかややこしい設定な上、どこまで本当なのか分からない無気味さが

 お気に入りなのです。

  というわけで、田舎暮らしの内容からは遥かに隔たっているようではありますが、これこそが私の田舎暮ら

 し。何卒ご容赦くださいませ。

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  <2016年9月8日>

 

  ふと気づけば、工房の庭を運動場にしていた30羽のツバメたちの姿が見当たりません。皆いつの間にか旅

 立っていったのです。カッコウたちもきっと、もうこの土地を去ったことでしょう。

   
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  今年は春先から様々な来訪者がありました。まずは裏山に捨てられた子猫が、工房の倉庫に住みついてしまい

 ました。家に入りたがるわりには恐がってなかなか保護できませんでしたが、里親捜しに奔走した挙句、今では

 親切な飼い主の元で暮らしています。


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  近くの小川の蛍が庭にまで飛んでくるようになりました。なんだか裏庭にいると、スズメバチが警戒して何度

 も突っかかってきます。不審に思い探してみたら、なんと土の中にスズメバチが巣をつくっていました。これは

 最大最強といわれるオオスズメバチの巣です。大変気の毒ではありますが、さすがに危ないので撤去しました。


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  これを機会に蜂について調べてみたら、スズメバチはいつも怒って八つ当たりしてくるような性格だと思って

 いたのが、勝手な思い込みだったとわかりました。なんとか適切な距離をとりつつ共存していけるといいので 

 すが。

  

 

  お隣りの方が拾ったキアゲハの幼虫をうちの畑の人参に保護しました。ほどなく蛹になって約2週間。ある日

 見てみると、美しい蝶になって色鮮やかな羽を休めていました。その神秘的な姿に畏敬の念を覚えます。


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  ある日、裏庭に得体の知れない巨大な糞が落ちていました。黒々とした形状を調べてみると、熊の糞にそっく

 りです。まさかと思っていたら、近所で熊の目撃情報があり、さらにドキドキしてしまいました。でも地元の方

 に伺うと、クワの実を食べたサルの糞はそのような形状になるのだとか。ちょっと安心しましたが、詳細はいま

 だ不明です。

 

 
  庭でヤマカガシや青大将を見かけるのは慣れっこになっていますが、ある晩玄関を開けるとマムシがトグロを

 巻いていてびっくりしました。


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  ちなみにこれはぺこり庵の吉 野剛広さんの作品「オオマムシ」です。本物を見た後だけに感慨ひとしおです。

 

 

  現在、工房の郵便受けにはカエルさんがお住まいです。時々届いた手紙がカエルさんの粘液で濡れることが

 ありますが、いたって行儀の良いお客様です。実は毎年ここをねぐらにするカエルがいるのですが、果たしてこ

 の子は去年のカエルと同じ個体なのでしょうか?きっと彼らにも色々な事情があるのでしょうね。


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  <2016年1月14日>


 こんにちはピクシー!です。

 暖かな年明けとなりましたね。本年も何卒宜しくお願い申し上げます。

 さて、新年第一回目は工房の年末年始についてお伝えします。遡ること昨年の12月8日。この日、店主は

 玄関先で何やらごそごそとやっていますよ。見に行ってみましょう。


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  これは一体何なのでしょう?店主曰く、12月8日は「お事八日」という日だそうで、妖怪の一つ目小僧が

 各家を回って、人々の悪さを見つけて帳面に書き付けるのだとか。それで一つ目小僧に家の中を覗かれないよう

 に、妖怪が苦手な目のいっぱいある眼籠やザルを、軒下などに吊るしておくという風習があるそうです。この籠

 のお蔭で、工房の中は覗かれないに違いありません。とはいえ、覗いたところで一つ目小僧と似たような、妖怪

 や妖精たちがウヨウヨいるのが見えるだけでしょうが。

  思いのほか几帳面な一つ目小僧が、人々の悪事を帳面に書き付けた後はどうなるのでしょうか?なぜか彼は

 その帳面を道祖神様に預けるのです。この帳面が天の神様の手に渡ると、人々の悪事の罰として疫病や天災が

 起こるといわれています。そこで、道祖神様は人々の為に帳面を焼いてくださるのだそうで、それがどんど焼き

 の由来だそうです。ほ~、どんど焼きってそういう意味があるのですね。

  さて、12月22日は冬至。冬至はカボチャを食べてゆず湯に入るのが定番ですが、昨年はそれらに加えて

 お炊き上げをしました。それというのも、昨年「清春 旅と空想の美術館」での作品展で活躍したオブジェの

 タラスクが引退後も工房の玄関横に飾られていたのですが、数か月の風雨にさらされてぐったりしてきました。


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  これを燃やして天に返すことにしたわけです。それと共に、店主が版木を彫った木くずも、貯めに貯めた一年

 分。気持ちを込めて彫ったものなので、ゴミに捨てるのも忍びなく、この度タラスクと一緒に燃やして一年の締

 めくくりをすることとなりました。太陽の復活を祈願して。といいつつ、たき火の中にさつまいもを忍ばせてお

 くことも忘れません。


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  年末には自分達で作ったもち米で、お餅をつきました。石臼はご近所にお借りできましたが、杵はなかったの

 で、たまたま工房にあった木を削って作りました。これで本当に餅がつけるのか不安でしたが、やってみると

 これがなかなか機能的。あっけないほど楽しく餅になってしまいました。やっぱり杵つき餅の味は最高です!


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  これでミニミニ鏡餅を7つも作ります。なにせ工房の敷地内および周辺には水神さまに、屋敷神様、山の神様

  に道祖神さまと、たくさんの神様仏様がいらっしゃいまして。それぞれに気持ちばかりのお供えものです。


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   画期的だったのが、隣接する道祖神様に幟を立てたことです。ずっとお世話をしてくださっていた方が

  数年前に亡くなられてからずっと立てられることがなかった幟。


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  それをお隣りさんと協力して立てていきます。縄をわたしてお供えをすると賑々しくなり、皆で盛大に柏手を

 打てば、清々しく年越しの準備が整った感じがします。

  穏やかなお正月の後、今日は1月14日どんど焼きの日です。門松や注連縄とともに、一つ目小僧の帳面も

 燃やされて、今年も一年無病息災の年になりますように。皆と連れだって繭玉を焼きに参りましょう。


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