第四回泊まり込み制作 彫刻編その二

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  いよいよ最後の泊まり込みに入ります。つまり完成するまで帰れないということです。怖いですね~。

  わたくしピクシーとしましては、毎日散歩したり、ちょっと離れた商店までお買い物にいったりして、それなりに

 楽しむ予定でいたのでありますが、なにやら殺気立ってきて完全に缶詰状態になってしまいました。

  さて、彫りは龍が立体的に見えるように、周りを掘り下げる作業に入りました。始めの予定では5ミリの深さとい

 うことでしたが、ふと店主を見ると1センチ以上も掘り下げているではないですか!何やってるんですか!そこだけ

 深く彫ったらみっともないじゃないですかと申しましたら、龍全体をこの深さで統一するとしゃあしゃあと答えま

 す。全体をこの深さにしたら予定の何倍もの作業量になりますよ!…もういいです。こうなったら全く迷いなく突き

 進んでいくのが店主のいつものパターン。もう何も申しますまい。


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  四大元素の彫りも予定より深くなってきましたが、やはり深い方が立体感が出て絵が生き生きするのですよね。四

 つの絵の背景は平刀で彫り跡を削り平らにする予定でしたが、店主としては版画のようにあえて彫り跡を残す感じが

 気に入ったようです。龍の周りもおもむろに特大丸刀を取り出して、ザックザックと不規則に削りとっていきます。

 それがまるで龍の周りを風が吹き抜けていくように見えたり、龍のエーテル体のようにも見えてきて動きが出てきま

 した。


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  マニ車にはお札を入れるための差込口があります。三センチの厚みのある板に穴を開けてくださるのは、建設会社

 アシストさんです。全体のデザインに合うようにとの無理なお願いを快く受けてくださって、あっという間にエレ

 ガントな形に仕上げてくださいました。


   

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  スタッフの方にお聞きした話では、木はそれぞれ特徴があって、加工する時になかなか思い通りにいかないことが

 ある。それを業界では“木に呼ばれる”というそうです。かっこいい!わたくしも今度何か失敗した時には、木に呼

 ばれたせいだって言い張ることにいたしましょう。え?言葉の使い方間違ってますか?

  しだいに細かくデリケートな作業になってきました。一番気を使うのはなんといっても、水の精霊のお顔です。

  店主もさすがにおっかなびっくりちょっとずつ削っていきます。しかしなにやらおばさんくさい顔になってしまい

 ましたよ。ここでピクシーのワンポイントメイクアドバイス!やっぱり一番の問題は、頬が垂れてきてホウレイ線が

 目立つことですよね!そこで、首の高さを下げて顎のラインを際立たせ、頬のトップを持ち上げてみます。

  お次は眉尻・目尻・口角を一直線に。それから目頭を少し下げて、鼻梁を際立たせます。店主は珍しくわたくしの

 アドバイスに関心し、言われた通りに彫っていきます。するとあら不思議!10歳は若くみえますわよってな感じで、

 若々しく品の良いお顔となりました。ほんの数ミリの違いでこんなに表情が変わるなんて、顔って本当に難しいです

 ね。


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  最後に全体にサンドペーパーをかけて彫りの作業終了でございます!素晴らしい!やっとここまで来たかと感慨に

 ふけりながら、明日から始まる未知なる領域、塗りの作業に思いを馳せます。

   
              

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