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   水羽







 この辺りの土地には水の湧き出る所が多く、歩いていると清ら

かな流れがさらさらと心地良い音を奏でる小川に行き合います。

 そんな水源地の一つ一つには水の神様が大切に祀られており、

地下深くからこんこんと湧き出る清水の気配が周囲の森を神聖な

衣で包みこんでいるのです。

 世界中で水にまつわる精霊というものは、不思議と影の部分を

多く秘めています。西洋の水の精ウンディーネが人魚姫のような

悲しくはかない物語で満ちているように。それは普段豊かさをも

たらす水の流れが、時に強大な力を持って我々を襲うことに関係

しているのでしょうか?

 日本では水神のことをミヅハメなどと呼んだりします。ミヅチ

などとも云い、龍のような生き物として表され、ここ井戸尻の縄

文土器などにも描かれているとされています。

 このミヅハメはミツハノメノカミなどの女神ともされ、この辺

りでは「水羽」という字を当てて祀ってありました。

 「水羽」の響きからカゲロウの羽のような淡い幻想美と、澄ん

だ水面にきらめく光の戯れとが重なって、水の精霊の姿が心の中

をよぎっていったのです。

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