「雪下の水おと」編 その2

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  こんにちは!ピクシーです。前回に引き続き、ギャラリーイベント「雪下の水おと」についてお伝えします。

 イギリス民謡に「ロンドンデリー・エアー」という日本でも有名な曲がありますが、実はこれ、妖精が作った曲だとい

 う伝承があります。しかし私たちが耳にしている歌詞というのは近年になってから付けられたものが多く、特に戦場へ

 行った我が子を思う母心を唄った歌詞が有名です。

  さて、実はコンサートの企画をしていた時、唐突に原謡子さんが店主におっしゃったのです。「いっそロンドンデ

 リー・エアーの曲に、新しい歌詞を作ってみては」と。いやはや、驚きです! だって店主は曲に歌詞など付けたこと

 なんてないのですから。そんなこと無理ですよ、と言うかと思いきや、店主は案に反して大張り切り。大丈夫なんで

 しょうか?「妖精が自分で作った曲を人間に手渡したという背景には、いったい何があったのだろう? そうだ!きっ

 とこの曲には、その妖精の人間に対する思いが込められているに違いない。ということは、人間の世界にいられなく 

 なった妖精が、その胸の内を伝える意味があったのだ。だから歌詞の内容も、去って行った妖精目線の言葉がふさわし

 い・・・」店主は何やら一人でぶつぶつ言っておりますよ。

  ということで題材にしたのが、フランスの蛇女「メリュジーヌ」の伝説です。


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  フランスポワトゥ地方の貴族の祖神といわれている妖精で、レモンダンという人間の男性と結婚して、彼に富と名誉

 を授けます。その代わり、土曜日に姿を消しても決して探さないようにと約束させます。しかしレモンダンは土曜日に

 妻の秘密の部屋を覗いてしまいます。そこには下半身が蛇となったメリュジーヌが沐浴していました。妻が蛇女である

 ことを受け入れられないレモンダンを残して、メリュジーヌは去っていくのでした。

  この話をベースにして店主が作詞をしたというわけです。題して「雪下の水おと」。今回のイベント名と同じですが

 雪の下を流れる水のように、姿は見えないけれども時には側で見守っています、という去っていった妖精の心情を唄っ

 ています。


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  この歌詞の雰囲気がこの曲に驚くほどぴったりで、店主は自分で書いたことも忘れて感動しています。会場でも何人

 もの方が涙ぐまれていました。曲が終わると大きな拍手が起こり、アンコールを頂きました。

  実はコンサートの企画の時に、杉本さんが店主に、妖精を鎮めるような音の言葉はないですかとお聞きになりまし

 た。具体的な内容の含まれない、音の響きが美しい言葉。色々考えたあげく、店主が提案したのが、「エアリエル」と

 いう妖精を表す言葉でした。この音をイメージしながら杉本さんが森を散歩していた時に、インスピレーションを得て

 作られたオリジナルの曲「エアリエル」がアンコールに演奏されました。本当に神秘的な曲で、会場が深くしんみり

 とした雰囲気で包まれる中、イベントはお開きとなりました。

  いや~、今回のイベントは本当に盛りだくさんで、大盛況でしたねえ。それにしても、確かに多くのお客様ではあり

 ましたが、異様に部屋がワチャワチャして感じられました。それはもしかして、素敵な音楽に喜んで、色々なものたち

 が聴きに来ていたせいかもしれませんね。


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