闇 里 (くらり) |
||
○戻る |
この精霊は文献には出てきませんが、一応妖 怪ぬらりひょんと 血縁関係にありそうな存在だと思われます。 ぬらりひょんは 妖怪の大将だといわれるように、捉えどころのな い化け物です。くら りもまた“のらりくらり”という言葉があるよ うに、とらえどころのない存在です。 くらりは 竹藪に棲んでいます。竹はしなやかでしたたかで、たく ましくもあり、ひょうひょうとした風情でもあります。そんな竹の 性質と似ているからこそ、く らりは竹藪を好むのでしょう。 竹取物語の例でも分かる通り、昔は竹職人は貧しい身分の象徴で した。けれど本来竹という植物は神聖なものであり、それを扱える 竹職人は畏怖と尊敬の対象でした。その畏れが時代と共に差別へと 変化していき、神聖なものを扱う職業こそ下層の職業とみなされる ようになったと思われます。 エジソンがフィラメントとして使った竹は、京都の男山八幡附近 の竹だそうです。男山八幡は現在石清水八幡宮と呼ばれ、水の神様 が祀られています。その水の神様の一つは月神とも関係しているの で、まさに竹取物語にまで連想が広がる土地です。 くらりは 太陽と月を手の上に載せているようですが、天を司る壮 大な力とも関係しているのかもしれません。鳥たちに餌を与えてい る様子は、古代の神々のように豊穣をもたらす存在であるという 意味でしょうか。 ひどく危なっかしく見えながらも、決して倒れる事のない、しな やかでバランスの良い精霊なのです。 |
|
こ のHPの文章と画像の著作権は総て製作者に帰属します。© Jiro Ota |